kzhr's diary

ad ponendum

補足

たとへば、甲骨や金文にさかのぼらなければ字源が明らかにならない種類の意符や文字がある。右や告の「口」がさうであつたし、「南」などもさうである。これらは、遡つて甲骨に繋がらなければ、ただの意味を解しがたい圖形になつてしまふ。さうした保障は、書體の傳統なくしてなしえないのではなからうか。一ツ飛びに字形を模して、果たして同じ意符であるといへるのか。

たとへば當用漢字で傳統が一囘斷ち切られたものだが、書體のデザインにどのやうな影響をあたへたかといふと、必ずしも當用漢字だけのせゐではないのだけれども、明らかに質が劣惡になつていく。正字への囘歸が、この同轍となつては困る。