kzhr's diary

ad ponendum

ファンタジー

ファンタジー作家といふのは、儀式論とか歴史論とか必然的に考へなければならないであらうと思ふのは私の考へすぎか。


しかし、何かを引き出す呪文の類といふのは、まさに儀式である。儀式とは、本來觸れてはならないもの――神など――に觸れるために、許可を求めるものである。なぜ許可を求めなければならないか。誰がどのやうにすれば許可を得られるのか、といふのは、呪文など儀式を用ゐる設定の登場するファンタジーでは缺かせないであらう。歴史論は、そのやうな力がなぜ發生し、どのやうに遠きに置かしめられたかの考察に缺かせない。また、キリスト教に對してイスラム教がなければ宗教改革やヨーロッパの世界進出があつたとは考へられないやうに、歴史から作話の現在を導くといふのは、おかしな設定が發生しにくいのでよい。