kzhr's diary

ad ponendum

それに關聯して思ふ

g:wikipedia:id:karpa:20041217でも扱つてゐる、日本語の歴史なのだが、巻6『日本語の歴史6―新しい国語への歩み』において、氣になる文を發見した。


白石でさえ西欧文字について、

字母僅に二十餘字、一切の音を貫けり。文省き義廣くして其妙天下に遣音なし。
と過大に感心しているくらいだから、漢字の複雑さに対する欧字の簡便さも、ほとんどの日本人にはよそごとにすぎなかった。

他所においてはこの本では自分の考へを披瀝したくはないと矢鱈勿體振る本書であるが、かういふところで、いとも簡單に本音がもれてしまつたのであらうか。それとも、以前の刊行において歐字と漢字の複雜さを言及してゐるのでここでは根據もなく觸れてよいと考へたのか。矢鱈とクロスリファレンスを行ふ本シリーズであるので、それがないのが不思議である。