kzhr's diary

ad ponendum

Copyright Problem of The Folklore

朝日新聞<千葉版>2005年5月18日日刊 p.27(文化総合)『フラダンスに「著作権」?』より。


WIPOの調査によると、オーストラリアで、国外で生産された伝統的な楽器が現地で作られたかのように売られたほか、伝統文化が廃れたケースもあるという。
そこで、伝統文化を生んだ地域や民族の尊厳を守る“人格権”や、勝手に複製するなどして商売にされない“財産権”を、というのが途上国などの主張だ。

このやうな主張がなされた背景には、うはべだけを取つて商業作品の要素に加へるなどの侮辱的な行爲、南北問題の一環で、南のものでさへも北の繁榮に使はれるといふいらだちがあるといふ。


だが、伝統文化には「共有財産」といわれるものが少なくない。著作権制度は新たな創作を促進するのが目的の一つであり、伝統文化保護にこの制度はなじまないというのが多くの先進国の考え方だ。

その言ひ分は一見ご尤もであるのだが、そもそも現行の制度が本當に「新たな創作を促進」しえてゐるのか、とか、無理解を押し通して<汚染>を續けてよいのか、とか、著作權が駄目なら他の案をなぜ出さうとしないのか、とか。

といふか、著作權しかないつてどうなんだらう。複雜なのは却つて保護を阻害するので考へものではあるが、しかし、著作權で漏れたものの多さよ(ただし、傳統文化については、個人本位の現在の法體系でどうやつて保護するのだらうかとも思ふ)。