kzhr's diary

ad ponendum

本が出ます(2)

前回の記事でご案内した本*1は、もともとは博士論文として書かれたものでした。リンク先から読めますが、検定制度と仮名字体の関係を描いた、中心となる論文3篇+αという感じでした。そこから、こんな壮大な書名を持つ本がどうやってでてきたかといえば、まあタイトルが先にあったわけですけれども、その後の5年、迷いつつも調べてきたことが奇跡的に実を結んだのだと思います。新しく加わった内容は、そのような新しいタイトルを支えるものとできたと自負していますが、どうでしょうか。

本書のテーマとしてはどのように現代の平仮名がこのようなかたちを取るにいたったのかについての歴史的探究にありますが、それをあきらかにするためにはさまざまな章が必要となりました。それらの章は、おおよそ年代順に並べてあるので、テーマ的にストレートには読みにくいかもしれません。そのときは、序章と第二章、最終章をよくお読みいただき、流れを摑んでいただければよいかもしれません。

補論をはじめ、寄り道がすこし多くなってしまった気もします。わたしにとっては大事な内容ですが、読者の皆様にもそうであってほしいと思っています。

本書の姉妹編として、

  • 変体仮名を学ぶ小学生」『日本語文字論の挑戦(仮)』勉誠出版
  • 「明治前期鋳造活字の平仮名書体における濁音表示と仮名字体意識」『年報新人文学』17(2020)

が同じくらいか本書よりあとに出ます。そちらもよろしくお願いいたします。

ちょっと思い出的なことも書こうかと思ったのですが、ちょっとまだ感慨深すぎてうまくことばにならないのでこのへんで。

*1:岡田一祐(2021)『近代平仮名体系の成立: 明治期読本と平仮名字体意識』文学通信